個人再生をするとクレジットカードは解約!対処法と発行時の注意点
個人再生をしたらクレジットカードが使えなくなると不安に思っていませんか?
個人再生をするとクレジットカードは今使っていない分も含めて全て使えなくなります。ですがいまどき現金だけで生活するのは不便ですよね。ネットでの買い物や金額の大きい買い物はカードでしたいですし、レジでお札や小銭を探すのも面倒です。公共料金などもいちいち支払いに行かずにカードで済みます。
クレジットカードが使えなくなるのは個人再生をする以上避けられないことですが、うまく対処してその期間を乗り切ることができれば後から新しく発行もできます。この記事では、個人再生をしたときに持っているカード、個人再生後に新しく作るカードについて解説しています。カードが使えなくなるからと個人再生をためらっている方も個人再生とクレジットカードの関係を正しく理解して、生活再建のため個人再生を始めましょう!
1章 個人再生をするとクレジットカードは解約される
個人再生をするとクレジットカードは解約されます。信用情報に問題ありと判断されるからです。また、司法書士や弁護士に個人再生を依頼する場合、クレジットカードを預けるのが通常です。いずれにしてもクレジットカードは使えなくなります。
1-1 利用しているカードは解約される
利用しているカードは個人再生の対象となり、司法書士などに依頼したときに解約されます。ショッピング枠の利用だけでキャッシングを利用していなくても同様です。
司法書士などに個人再生を依頼すると、カード会社に受任通知というものが送られます。これをカード会社が受け取ると、個人再生をしようとしていることが伝わります。
1-2 利用していないカードも順次解約される
使っていないカードは個人再生の対象外ですが、順次解約されます。いわゆるブラックリストに載るからです。直接受任通知を受け取っていなくても、個人再生をしたという情報は共有されています。使用していないクレジットカードについても定期的に信用情報は確認されており、個人再生をしたという情報を見つけ次第解約されます。
2章 個人再生をするときにやってはいけないカードの使い方
個人再生をしてクレジットカードが解約されるのは避けたいものです。ですが避けようとしたり誤魔化そうとすると最悪の場合犯罪になります。ここでは特に注意すべき禁止事項について説明してきます。
2-1 解約されるまで使い続ける
個人再生をしてクレジットカードが解約されるといっても、手続きの時間はかかります。使用していないカードは解約のタイミングが遅いときもあります。ですがその隙にクレジットカードを使うのは厳禁です。最悪犯罪になりますし、個人再生の手続きにも支障がでます。
犯罪になりかねない
クレジットカードを利用すると、利用してから引き落としの日まで一時的に借金をしている状態になります。これから個人再生をしようとしているということは既に借金の返済が難しくなっているはずですが、そこからさらに借金を増やすのは不自然です。返せるはずがないのに借金をした、返すつもりがないのに借金をしたとして詐欺罪に問われる可能性があります。
裁判所やカード会社から不信感をもたれる
個人再生は裁判所が許可してくれなければできません。個人再生をする条件として誠実に手続きを行うことも挙げられています。個人再生をすると分かっていて借金を増やすと、許可が下りにくくなるでしょう。
カード会社も個人再生の手続きに関わってくるので協力してもらわなければいけません。しかしつい最近までカードを使っておいて「個人再生をするので全額は払いません」と言い出す人に協力したくはありません。裁判所やカード会社から不信感を持たれると個人再生の手続きに支障がでます。
2-2 クレジットカードで購入した商品を現金化する
個人再生をする前にクレジットカードで買い物をしてその商品を売れば現金は手元に残ります。しかしこれはクレジットカードの現金化と呼ばれる行為で、クレジットカードの規約に違反します。
それでは具体的にどんな行為がクレジットカードの現金化に当たるのか説明してきます。
CASE① ブランド商品などを購入して買い取り業者に売る
ブランド商品や金券、家電などの買取価格が高い商品をカードで買って買い取り業者に売るという方法です。やっていること自体は不用品を売ったのと変わりませんが、最初から売るつもりだった・現金化が目的だったという点で異なります。
CASE② 業者から安価な商品を高額で買い、キャッシュバックを受ける
クレジットカード現金化を行う業者からあまり価値のない物を高額で買い、その代金の何割かをキャッシュバックとして受け取るという方法です。クレジットカードの現金化をうたっている業者はこのパターンが多いです。
CASE③ 買い戻しや返品の約束をして商品を購入し、買い戻しをしてもらう
販売業者から買い戻しや返品の特約がついている商品をカードで買い、買い戻しをしてもらって現金を受け取るという方法です。CASE①とは買ったところに返すという点で、CASE②とは購入した物が手元に残らないという点で異なります。
CASE④ カードで紙幣や貨幣を購入する
カードで現行の紙幣や貨幣を購入する方法です。古銭や旧紙幣などをコレクション品として購入するのは問題ありませんが、現行の紙幣の購入は、クレジットカードの現金化やマネーロンダリングの防止のために様々なサービスの規約で禁止されています。
クレカの現金化は規約違反
このような行為はクレジットカードの規約に違反しており、カードの利用停止や強制退会、利用額の一括請求などのペナルティを受けます。禁止されていると分かっていて現金化した場合は詐欺罪に問われる可能性があり、他にも出資法違反で逮捕された例もあります。法律的に非常に怪しい行為なので悪徳業者も多く、個人情報やカード情報の悪用、約束の現金を受け取れないなどのトラブルも多いです。
そもそもクレジットカードの現金化は損をするものです。どんな方法で現金化してもカードの利用額以上の現金を手に入れることはありません。しかもその差額を金利として計算すると、普通に借金するよりも高い利率になります。結局クレジットカードの現金化は借金を増やすだけにしかなりません。
2-3 クレジットカードを隠す
解約されたくないからとクレジットカードを隠すのも厳禁です。個人再生をするときには正確に借金や家計の状態を知る必要があるからです。個人再生をしようとするとき、裁判所に言っていない借金が見つかったり申告が不正確だったりすると、個人再生ができなくなる可能性があります。ですので、本当のことを話してくれないのでは仕事にならず、司法書士等が契約を終了させることもあります。
そもそも個人再生では徹底的に家計を調査するので、カードを隠し通すことは難しいです。使い道が不明であったり大きな金額が動いていたりすると何に使ったかはっきりさせます。車など高額な物やお金になりそうなものがないか調べ、持っている口座やカードも全て確認します。そのような調査のなかでカードの痕跡を全て完璧に隠しきるのは非常に困難です。
3章 個人再生をすると5~10年クレジットカードが作れなくなる
ブラックリストに載っている状態だと新しくクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることができません。 個人再生によってブラックリストに載る状態は5~10年続きます。
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個人再生をするとまずカード会社がそれを知ります。そしてカード会社から信用情報機関に情報が渡り、信用情報機関同士でも共有されます。各信用情報機関での登録機関は以下の通りです。
信用情報機関 | 期間 |
---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 5年以内 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 5年以内 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 10年を超えない期間 |
個人再生をすると信用情報機関にその旨登録されますが、永遠に情報が残ることはありません。減額された借金を着実に返しながら信用情報が回復するのを待ちましょう。
4章 新しいクレジットカードの作り方
個人再生後に新しくクレジットカードを作るときに特別な方法による必要はありません。通常通り申し込み、審査を受けてカードを発行してもらいます。しかし注意すべき点が4つあります。見ていきましょう。
4‐1 信用情報を確認する
信用情報に問題があればもちろん審査に通りません。新しくカードを発行するには個人再生をしたという情報が消えている必要があります。
ブラックリストに載っている期間は5~10年です。確実に情報が消えたか調べるには、各信用情報機関に確認します。各信用情報機関は情報開示を行っているので申請すれば自分の信用情報を確認できます。
信用情報機関 | 方法 | 手数料 |
---|---|---|
CIC | インターネット・郵送・窓口 | 500~1000円 |
JICC | スマホ・郵送・窓口 | 500~1000円 |
KSC | 郵送 | 1000円 |
4‐2 以前利用していたカード会社は避ける
新しくカードを作るとき、以前利用していたカード会社やその系列の会社に申し込むのは避けましょう。審査に通らない可能性が高いです。
個人再生をしたという情報は5~10年で消えることになりますが、利用していたカード会社は別です。社内独自の情報としては残り続ける可能性があります。各カード会社での取り扱いは明確には分からないので、絶対に審査に落ちるとは言い切れませんが、以前利用していたカード会社は避けた方が無難です。
4‐3 限度額は低めに、極力オプションはつけない
限度額が高かったり様々なオプションをつけたりすると審査が厳しくなります。個人再生をした情報が消えたとはいえ、クレジットカードを問題なく利用してきたというプラスの情報もないので審査に不利な状況ではあります。限度額が低めで審査に通りやすいカードから始めて返済の実績を残していきましょう。
4-4 同時に複数社に申し込まない
不安だからといって同時にたくさん申し込んではいけません。かえって審査に通りにくくなります。いわゆる「申込みブラック」と言われる状態です。
クレジットカードの申し込みも信用情報機関に登録されます。申し込みの審査で信用情報を確認したとき、同時に複数社申し込んでいることが分かると、お金に困っている人、審査に通らなかった人なのかと疑われます。それで審査に通らなくなってしまうのです。落ち着いて1社ずつ申し込みましょう。
5章 個人再生をした後は別の電子決済を利用しよう
個人再生をしてクレジットカードが解約されるのは家計の立て直しのためになります。現金中心の家計にすることで、お金の流れがわかりやすくなり、使い過ぎを防げるでしょう。しかしキャッシュレス化が進む中、現金しか使えないのは不便でもあります。その場合には別の電子決済を利用するのがおすすめです。
5-1 デビットカードを使う
デビットカードは審査なく発行できます。口座から即引き落としなので使いすぎることもなく、比較的現金に近い感覚で利用できます。VISAやMastercard、JCBのデビットカードもあるので、使えなくて困ることもないでしょう。
銀行のキャッシュカードをそのままデビットカードとして使えるJ-Debitというサービスもあります。こちらは通販サイトでは使えず対応しているお店にも限りはありますが、新規にカードを発行することなく銀行のキャッシュカードがそのまま使えるという点で便利です。
5-2 プリペイド型電子マネーを使う
プリペイド型の電子マネーであればクレジットカードが無くても利用できますし、もちろん審査もありません。ネット決済可能な電子マネーもあるので通販サイトでも利用できます。
VISA、Mastercard、JCBのプリペイドカードもあります。クレジットカードのように利用できるのでこちらも便利です。
5-3 スマホ決済を使う
スマホ決済はクレジットカードに紐づけするだけでなく、プリペイド、口座引き落とし、キャリア決済で残高をチャージできます。ネット決済が可能なものもあります。ただしキャリア決済で利用していて料金を滞納すると携帯電話・スマートフォンも使えなくなります。
5-4 家族カードを使う
クレジットカードの家族カードであれば個人再生をしていても使うことができます。確認される信用情報は本会員の情報だからです。明細の送付や請求は本会員とまとめて行われるので、買い物の内容を知られることになりますが家計の管理はしやすいでしょう。
5-5 ETCパーソナルカードを使う
クレジットカードがなくてもETCを利用できます。ETCパーソナルカードを発行しましょう。これはデポジット(保証金)を預ければ発行可能です。通行料金は口座引き落としになります。利用料金がデポジットの80%を超えると利用停止になる点には注意が必要です。
なお個人再生における自動車の扱いについてはこちらの記事をご覧ください
個人再生でも車を残せる場合がある?残せない場合についても詳しく解説!
まとめ
個人再生をするとクレジットカードは使えなくなります。新しくカードを作るのもしばらくは不可能です。しかし、これは家計の見直しのきっかけにもなります。現金だけでは不便な場合、デビットカードやプリペイドの電子マネーなどを利用しましょう。信用情報が回復する5~10年後に新しくカードを作る場合には、自分の信用情報に気をつけて、審査に通りやすいようカードを選びましょう。
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山田 愼一
- 保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
- 「世界一やさしい家族信託」著者
- 全国司法書士法人連絡協議会 理事
相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。
一般の方向けのセミナーの講師や、司法書士や税理士等専門家向けのセミナー講師も多数手がける。オーダーメイドの家族信託を使った生前対策や、不動産・法人を活用した生前対策が得意である。
- 【セミナー講演主要実績】
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