自己破産をすれば、借金の返済の義務が免除されます。そのため、借金の返済で首が回らなくなった方は自己破産を検討する方もいらっしゃるでしょう。

一方で、自己破産を検討している方の中には、住民税などの税金も支払えないという方も多いのではないでしょうか。

実は、自己破産すれば、金融機関や消費者金融、知人などからの借金の返済は免除されるものの、税金の支払いは免除されません。

しかも、自己破産をすると、新たな借入はできなくなるため、自己資金や収入がなければ税金を支払うことも難しいでしょう。

では、そのようなときにはどうしたら良いのでしょうか。

この記事では

  • 自己破産で税金の支払いが免除されない理由
  • 税金の支払いを滞納するとどうなるのか
  • 支払えないときにはどうすればいいのか

について解説します。


1章 自己破産をしても税金の支払い義務は免除されない

冒頭でもお話したとおり、自己破産をしても滞納している税金、今後支払わなければおけない税金の支払いの義務は免除されません。

なぜなら、税金は「非免責債権」に含まれるからです。

「非免責債権」とは、自己破産しても免除されない債権のことです。

具体的には以下のように定められています。



非免責債権 具体例
各種税金等 ・所得税、住民税、自動車税、固定資産税などの税金
・国民年金
・国民健康保険料
・下水道料金 など
慰謝料 悪意のあるもの(DVやモラハラに対する慰謝料 など)
※原則として、不倫慰謝料はこれに含まれない
損害賠償金 重過失にあたるもの
従業員の給料
養育費
罰金 刑罰によるもの

上記の表からも分かるように、税金については自己破産をしても免責(免除)されません。

税金は優先して返済しよう|税金の返済は「偏頗弁済」にあたりません!

自己破産では、特定の債権者を優先して返済する行為は「偏頗弁済」として禁止されています。

例えば、A社とB社に50万円ずつ借りているにも関わらず、A社だけに50万返済して完済するというような行為はNGということです。

しかし、税金は「偏頗弁済」に該当しません。他の借金を差し置いて、税金だけを返済するということは問題ないのです。(破産の有無にかかわらず支払わなければならないことに変わりはないから)

そのため、現時点で資産を売却して現金を作ることができるのであれば、自己破産をする前に税金だけでなるべく支払っておくのが良いでしょう。

2章 税金の支払いを免れるのは難しい

前述したとおり、自己破産でも税金の支払いは免除されません。

とはいえ、自己破産する方の多くは、そもそも債権を返済することができないから自己破産をするのであり、それでも支払わなければいけないと言われると困りますよね。

しかし、残念ながら税金の支払いを免れるのは「ほとんど不可能」であると言わざるを得ません。

税金にも時効がありますが、制度上、時効を迎えるのはほとんどありえない仕組みとなっているからです。

ただし、生活保護を受給している場合に限り、免除される可能性があります。

以下で詳しく説明します。

2−1 税金に時効はあるが迎えることはほぼない

税金にも時効があり、一定期間支払わずにいると支払い義務がなくなります。

しかし、時効を迎えることはほとんどありません。なぜなら、督促状や催告状が届いた時点で時効が中断することが法律で決められているからです。

滞納しやすい税金を例に、時効を見ていきましょう。



住民税 納期限から5年間
固定資産税 納期限から5年間
自動車税 納期限から5年間
国民健康保険料 納期限から2年間

上記を見ると、5年あるいは2年間納付をしなければ時効を迎えると思われるでしょう。

しかし、この税金について督促状や催促状が届いた場合には、時効が中断します。

税務署や自治体が税金の滞納を放置することはありませんので、現実的に、時効をむかえることはあり得ないと言えるでしょう。

2−2 生活保護受給から3年経過すると免除される

唯一、税金の納付義務が免除されるケースがあります。

それは「生活保護受給から3年経過した時」です。

生活保護の受給が開始されると、滞納分の督促や、財産の差押え等の滞納処分が一時的に停止されます。

そして、生活保護受給が開始されてから3年が経過すると、滞納分の支払い義務が免除されます。あくまで「生活保護受給から3年が経過」しなければ免除されないので注意しましょう。

なお、3年経過前に生活保護の受給が終了すると、再び税金の支払い義務が発生します。

3章 税金を滞納すると財産が差し押さえられる可能性がある

ここまで、「税金の支払い義務は免除されない」ということについてお話しました。

では、支払い義務を怠り、滞納し続けるとどうなるのでしょうか?

結論から言うと財産の差押えが行われます。

テレビで、大人数の人が滞納者の家に突然やってきて、色々な金品を没収している光景を見たことはありませんか?それがいわゆる「差押え」です。

差押えでは、家の中にある金品などのほかに、給料や銀行口座にある預金なども没収されてしまいます。

実は、消費者金融や金融機関からの借金も滞納すると、差押えが行われます。しかし、民間企業が差押えをするには裁判所の許可が必要です。

一方で、税金の場合は行政機関の職権によって、裁判所の許可なしに即座に差押えを行うことができるのです。

そのため、民間からの借金よりも差押えまでの期間が短いことがほとんどです。

3−1 差押えまでの流れ

①督促状が送付される

国税は滞納から50日以内、地方税は滞納から20日以内に督促状が送付されます。

この時点で時効はストップします。

②法的に財産の差押えが可能になる

督促状の送付から10日以上経過しても滞納した税金が支払われないと、法的に差押えが可能になります。

③財産の差押えの実行

最終通告として、「これ以上滞納したら差し押さえますよ」といった差押えを知らせる通知書が送付されます。

この通知が届いたら、いつ差押えが行われてもおかしくありません。

これにも応じずに税金を滞納を続ければ財産の差押えが実行されます。

4章 どうしても支払えないときの対処法

支払い義務が免除されないとはいえ、お金が無ければ支払うことはできません。

税金を支払うために、違法な貸金業者からお金を借りるようなことになっては本末転倒です。

では、そのようなときはどうしたら良いのでしょうか。

4−1 税務署や市役所に相談窓口に相談する

どうしても税金の支払いができないときには、税務署や自治体に相談しましょう。

こればかりは、司法書士や弁護士などの専門家に相談して解決するものでもありません。

税務署や自治体も鬼ではないため、事情を話し、支払う意思があることを伝えれば解決策を提示してくれるはずです。

窓口に相談する際には以下のことに気をつけましょう。

  • 支払えない事情を話す
  • 今後、支払える目処が立つのはいつかを話す
  • 目処が立てば支払うという意思を示す

4−2 生活保護を受給する

自己破産をして、借金の返済にあてていた分が亡くなったにもかかわらず税金の滞納分を支払えないのは、ほとんどが収入がないケースでしょう。

収入がなく、生活が苦しいという場合には生活保護の受給を検討しましょう。

生活保護の受給が開始されれば、税金の滞納処分は停止され、差押えが行われることもなくなります。

受給から3年が経過すれば支払い義務は免除されますし、受給中に仕事が見つかれば受給が終了後に少しずつでも滞納分を返済することができるでしょう。

まとめ

自己破産をしても、税金の支払いを免除されることはありません。

また、支払いをせずに滞納し続けると差押えされてしまいます。

もし、どうしても支払えない場合には、税務署や自治体の窓口に相談するようにしましょう。

きっと、解決策を提案してくれるはずです。

また、収入がなく、通常の生活すらも厳しいのであれば生活保護の受給を検討しましょう。


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